父の日の慌ただしい朝

 それは清々しい風の吹く、日曜日の朝のことだった。
休日になるといつもより少しだけ早めに起きてくる家族が台所に集まり、朝食の準備をしていると


「おねしょだよ!」
「おねしょじゃないだろう」
「おねしょだもん!」

と、一番下の娘と父親の揉める声が聞こえて来る。
なんだなんだ、と母親と、上の兄弟が家事もそこそこに覗きに行くと、真ん中に大きな水溜りを作った布団を挟んで娘と父親が言い争いをしていた。

「だからおねしょだもん!!」

娘は顔を真っ赤にして地団駄を踏んで抗議する。
確かにそれはおねしょだ、と誰もが思った。
布団にはっきりとおしっこの水溜りが出来ている。
だが父親は違うだろう、と譲らない。
「だって見てみろよ」
と父親は、交互に両足を踏み鳴らす娘の尻をみんなに向けた。
「あれ?」
パジャマのズボンが濡れていない。
「こいつさあ、突然起き出したかと思ったらズボンとパンツを脱いでしゃがみ出して、ここにおしっこし始めちゃって・・・・・終わったら何事もなかったかのようにまたパンツとズボンを履いて寝ちゃったわけ」
どういうこと?と怪訝な顔をする家族に父親は半笑いで教える。
「だからおねしょじゃないんだよ」
「おねしょだもん!!!寝ちゃってしたんだからおねしょだもん!!」
娘は更に激しく両足を踏み鳴らして叫んだ。
本人としては寝ぼけてパンツを下げておしっこを布団にしちゃったことの方が不名誉なことらしい。
「どっちでもいいから、とにかく体を洗って布団を干しましょう」
と、母親が娘の方に手をかけた時。

濡れていなかったパジャマのお尻に勢いよく丸いシミが広がり


しゅわわわわわーーーーーー・・・・・・

という音が足の間から聞こえたかと思うと畳を水音がうち、娘の両足の間に水溜りが出来、どんどん大きくなる。

「・・・・・・お前、おしっこ我慢してたのか・・・・」
地団駄を踏んでいたと思ったのはおしっこを我慢してる仕草だったのだ。
「だってパパがおねしょだって言ってくれないから!!」
娘はわんわん泣きながら叫んだ。
「せっかくパジャマは濡らさなかったのになあ」
兄たちはびしょびしょに濡れたズボンを引っ張って濡れた部分を確認する。
そしてするりと濡れたズボンとパジャマを脱がせると
「こんなにいっぱい漏らして、布団もあんなに濡れて・・・・・ジュースの飲みすぎだ!」
とお尻を何度かぴしゃん、とひっぱたいた。
それはさすがに否定出来ず、娘は悔しさをいっぱいにして言い返すのを我慢し、痛んだ尻を撫でる。
最後にちょっとだけ残っていたおしっこを恥じかきついでとばかりにしょろっと漏らすと兄に抱かれて風呂場に行った。

その日からしつこく「お布団はトイレじゃないんだぞ」と家族にからかわれて娘は悔しさを我慢しながら眠りにつくのだった。
スポンサーサイト
プロフィール

りろいべる

Author:りろいべる
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR