お屋敷を持て余した女の愉しみ

 たまたま嫁いだ先が資産家だっただけ。
 たまたま、その相手が早く他界しただけ。
 ただそれだけ。
 ただそれだけで、水松(みる)には、大きな屋敷と使用人と財産と、有り余る時間が残された。
 刺激のない毎日と、退屈な社交辞令の日々に、水松は、自分の居所を見失いかけた。
 だが、今は美しい一輪の花を手に入れた為に、煩わしい事が些細な事に思える。
 目の前にいる、脂でぎとついた男の、しつこい寄付のおねだりが終わったら、その花を愛でるのだ。
 水松は、そうやって苛つく時間を耐えた。
 水松は、莫大な財産を手に入れたからって、それを湯水のように使う事は望まなかった。
 かと言ってむやみやたらに寄付すれば、人目について面倒な事も増える。
 口の堅い相手を見つけ、年に一度か二度、寄付をする事に決めていた。
 目の前にいる、図々しい男には到底考えつかぬ事だろうと、一人ほくそ笑む口元をお茶を飲む事で誤摩化す。

 相手は二時間ほど粘っただろうか。
 次の約束があるがために、渋々立ち去った。
 水松は、以前なら絶対にやろうとは思わなかった、残念だという表情を惜しみなく出して男を見送った。
 心は、あの花に飛んでいるのだ。
 今まで使っていた部屋をメイドに片付けさせると、彼女は急いで、屋敷の上階、自分の部屋の二つ先の部屋へと向かう。
 古びた、重い、チョコレート色の厚い木の扉をノックすると、返事の有無に関わらず、ノブを回して開ける。
 15時の、少し和らいだ陽射しの中、大きめのベッドの中で、黒く長い髪が揺れ、毛布の中から、頭だけ出した。
「起きたの?」
 少女は、水松の問い掛けに、頬を赤らめ、こっくりと頷いた。
 さらさらと髪が肩を伝う。
 水松は、愛しそうに目を細め、少女を見ると、ベッドに歩み寄った。
「あのおっさん、しぶとくて焦れったかったわ」
 少女の頭を艶やかな黒髪ごと、片手で抱きかかえながら、水松はそう囁き、もう片方の手を少女の背中に回し、そのままお尻まで手を這わせる。
 冷たい感触が、少女のお尻とベッドからその手に伝わる。
 少女の体がびくっと震え、水松の口からは笑みが漏れた。
「やっちゃってるじゃない?」
 水松は、少女の体を自分の上半身に引き寄せる。
 薄手の白いパジャマの背中、お尻の下のシーツがぐっしょり濡れ、透けるパジャマの下で露になった下着から肌の色が透けていた。
 少女は、おねしょをしていた。
「あの男のせいで、すっかり冷えちゃってるわ」
 濡れたお尻を下着越しに撫でながら、水松は悔しげに言った。
「奥様・・・・・・汚れてしまいます・・・・」
 少女はかすれるような声で言った。
「蛇目は、まだそんなことを言ってるの?」
 くすくすと笑うと、水松は、少女をベッドの中から出して、その脇に立たせた。
 蛇目。
 彼女こそ、水松の楽しみである、一輪の花だ。
 あまりにも幸福とはかけ離れた環境にいた彼女に、ひょんなことから出会った水松は、是非とも養子に迎え入れたかったのだが、周囲の目があるだろうし、自分だけならいざしらず、蛇目にも色んな誹謗中傷や妬みそねみの感情が向けられる事も用意に想像が付き、なくなくメイドとして雇い入れる事にした。
 あからさまに近くに置くと、メイドたちからやっかまれる。
 まだ、未熟で自分の監督が必要だ、ということにして、ひとつ空いた部屋に置く事にしたのだ。
 実際は蛇目は優秀な方で、仕事での失敗はなかった。
 ただ、ベッドの中をたまに濡らしてしまうことだけが、唯一の弱点みたいなものだ。
 そんな彼女を可愛がり、またはいたぶるのが水松の愉しみでもあった。
 大人しく、無駄な口を利かず、あまり笑わない彼女が、ほんのり頬を染め、少しだけ困惑した顔で、なす術も無く、おねしょで汚した四肢を晒す。
 それは、水松には快感だった。
「体が冷えたから、またおしっこがしたくなったんじゃない?」
 ベッドから濡れたシーツを剥ぐと、立たせた蛇目の足の下に敷き、下着の上から指を這わせながら、囁く。
 尿意は事実だった。
 しかし、それでも、我慢しなくてはならないほどのものではない。
 それを水松の指が煽るように刺激して来る。
 蛇目は、自分の主の手を払いのける事も出来ず、パジャマの上着の裾を掴んで耐えた。
 彼女の秘部に当たった、冷えたショーツの生地に、温かいものがぽっと拡がるのにはさほど時間は掛からなかった。
 ショーツの前に広がった温もりは、お尻に回り、秘部から、下に敷いたシーツの上に


ぽつ

ぽつ

ぽつ・・・・・・・

と、ゆっくり滴ると・・・・・・・・・

しゅう・・・・・・・・・うううううううう


 形の良い脚を伝い、シーツの上に水たまりが出来て行く。
「おねしょっこは、おもらしっこね」
 水松は満足そうに微笑んだ。


 後始末は、水松がする。
 若くて美しい蛇目の体も水松が洗う。
 水松が蛇目の部屋に長居した時は、蛇目が失敗をしてお仕置きをされた事になっている。
 おねしょの後始末の後は、蛇目が少しだけもじもじとしているので、メイドは、水松の説明に何の疑いも抱いていない。


 その日は満月だった。
 水松の部屋の大きな窓には、煌々とした灯りが射し込んでいて、灯りなどは要らないくらいだ。
 そこへ、蛇目がするりと忍び込んだ。
 よく寝ている水松のベッドに潜り込むと、小さく、ご主人様、とささやく。
「なあに?
一人で眠れなくなったの?」
 水松は寝ぼけ眼で蛇目を見ると、はっきり開かない口で言った。
 彼女は夜に、そんなに強くはない。
「・・・・・・・・私、なんだか怖くて・・・・・・・
怖い話を聞いてしまったからでしょうか・・・・・・
今夜は一人でトイレに行かれないんです・・・・・・」
 そう言うと、蛇目は、前を押さえ、膝をすり合わせ、体を前後に揺らせてもじもじとした。
 顔はあくまで冷静だ。
「・・・・・でも、ご主人様は、私のおねしょ姿、お好きなんですよね?」

(この子は、何を言ってるの?)
 
 ぼんやりとした意識の中で、そう思う、水松の耳に、かすかに

しゅううううう・・・・・・・・

という音が聴こえて来た。
 残念ながら、その音が何か判る前に、水松の意識は途切れてしまった。

しゅう・・・・・・・という音が、まるで子守唄であるかのように。



(冷たい・・・・・・)

 水松は、朝陽の中でぼんやり思った。


(何これ?)

 自分のお尻や背中が濡れている。

(????????)



「やってくれたわね、この子は!」
 はっきり目を覚ました水松は、自分の体が蛇目のおねしょで濡れている事を悟った。
 張本人は、すぐ横ですうすう寝ている。
 いつもおねしょをからかわれて、大人しいこのメイドは仕返しに出たのだ。
「私はちゃんとお声掛けいたしましたよ」
 蛇目は、しれっとした顔で言う。
「わざとでしょ?
わざとおねしょをしたら、どうなるか判ってるわよね?」
「はい」
 べたべたの体を洗った後、体を拭きながらバスルームから出て来た水松の言葉に、下着を履き替えた蛇目は、くるりと背を向けると、シュミーズのすそを上げた。
「忌々しいわね!」
 水松は、苦々しく言うと、若くて白いお尻を平手で打った。
 蛇目は、態度こそしおらしかったが、勝ち誇った顔をして尻を染めて行った。
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