スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

情景

おねしょをしたから・・・・・


高校生にもなって朝がこんなに屈辱的なことはない。
ハッとして目を覚ますこともあればまどろみからゆっくりと目が覚めることもある。
どっちにしても結果は同じだ。
パジャマのズボンはビショビショ。
布団には大きな染みが出来、特にお尻の下から股間に掛けての部分はシーツの下の布団までぐしょぐしょで模様が透けて見える。
おねしょが治らない。
母親はオムツを勧めて来たが、毎日するならともかくも、毎日のように続くこともあれば一ヶ月ぶりのこともある。
そんなおねしょの為に毎日オムツを当てるのはもっと屈辱的でイヤだった。
同じような理由でおねしょシーツも断った。
母親は文句も言わず、その判断を飲んだ。
その代わり、汚した始末は自分ですることにしたがこの片付けもなかなかに惨めなものだった。
なるべく家族が部屋から出て来る前に済ませたいと焦るから、逆にモタモタしてしまってまだ吸い込まれきっていない己の排泄物を床にぶちまけたこともあるし、汚れたパジャマを履いたまま洗い場まで行けば水たまりが床に続くし、脱げば下半身丸出しの情けない姿。
慌てて入る風呂は十分に温まっていないし、夏は臭いがキツい。
布団だって丸洗いできるわけじゃない。
天気が悪ければうすら湿ったまま。

高校2年になった彼、ショウタは受験勉強を理由に一人暮らしを申し出た。
大学が決まってから慌てて物件を探しても競争率が高く探すのは困難だろう、と親には言った。
様々な条件はついたが、どうにか一人暮らしは認めてもらえた。

ショウタが一人暮らしを望んだのはもちろん勉強が理由ではない。
一つは、誰にも気兼ねなくおねしょをし、その後片付けをしたかったから。
そしてもう一つは・・・・・

ーーーーシリアルキラーの特徴に、夜尿が治らないーーーーー

という文献を見たからだ。
自分がシリアルキラーかどうかは判らない。
だが、こんな屈辱的なことを誰かも味わうべきだとは思い始めていた。
例えば、弛緩した肢体はみっともなく排泄物を漏らすという。
自分に殺人が出来るとは思わないが、自分より弱いものをどうにかすることは出来るんじゃないか、という妄想が頭の中に生まれ、それからはその妄想が止まらなくなった。
勉強をしていても何もしていても、誰かがみっともなくお漏らしをしてしまうところ。
おねしょでお尻をぐっしょりと濡らしてしまうところ。
それを目撃してしまう自分。
そんな映像が脳内を占めて行く。

自分はいつか誰かを殺してしまうかもしれない。
本当にシリアルキラーかもしれない。
そう思い始めていた。


目を覚ますとお尻がぐっしょり濡れていた。
幸いその日は日曜日だったから、ショウタは片付けを慌てることはなかった。
濡れたパンツをお尻から引き剥がしシャワーで自分の体と汚れたものを濯ぎ、洗濯機にあとは任せ、布団の処理をする。
参考書を持って朝食をコンビニで買い、公園のベンチで朝食をとりながら勉強する。
一口頬張るごとに暗記が進む。
そんなイメージだ。
ふと気付くと目の前に幼い女の子がいた。
幼稚園の年長か、あるいは小学校の一年生くらいか・・・・
女の子はショウタの顔をじっと見つめていた。


どうしてそうなったのかは覚えていない。
誰かに説明しろと言われても困難なことだが、我に帰るとショウタは一人暮らしの自分のマンションとは名ばかりの小さな築年数の古い部屋の中にいて、目の前では女の子が足を広げ足元に水たまりを作って震えていた。
・・・・・お漏らしだ・・・・・・
ショウタの喉がゴクリと鳴った。
待ちに待った。
頭の中に描いていた他人のお漏らしだ・・・・・

しかし、実際に粗相をされてしまうと頭の中の妄想より、片付けなくては、というスイッチが入ってしまう。
急いでお湯を沸かし、少女の体を洗い、床を拭き・・・・・
気付くと少女は座布団の上でショウタから借りたTシャツに体を包み、丸くなって寝ていた。
その寝息を耳にしているうちにショウタも眠気に襲われ、すぐ隣に横たわった。


お尻が冷たい・・・・・・
ショウタは暗い意識の中、ぼんやりと思う。
どこかですすり泣く声がした。
そうだ、他人がいるんだ!
ショウタが慌てて目を覚ますと隣では座布団にうずくまり泣いている女の子がいた。
そのお尻の下には丸い染みが出来ている。
ショウタの胸がどきりと鳴った。
女の子の手を取るとお風呂場に行き、一緒に体を洗った。
もうどうにかなってしまいそうだった。
女の子は、それから度々ショウタの家に来た。
そして、時々おしっこの失敗をして帰って行った。
彼女が帰った後、一人取り残された部屋でショウタは自分はいつか彼女を殺してしまうのだろうか、とぼんやり思った。


今日も女の子が来ていて、二人は知らぬ間に眠りについていた。
ショウタに昼寝の習慣はないのだが、彼女が寝ると自分も眠くなるのだ。
そしていつものように少しして目を覚ますと、部屋の中に誰かがいた。
自分の部屋では有り得ない、少し年上の女性が微笑みながら自分を見下ろしている。
ショウタは、慌てて体を起こすと同時に、
(おねしょは?)
と身を硬くした。
幸い、その日はしていなかった。
女性は女の子の手を繋いでいた。
女の子のスカートの裾にはおねしょの印がある。
「この子の母です」
と、女性は名乗った。
「勝手に上がりこんじゃってごめんなさいね?うちの子がよくお邪魔してると聞いたものですから・・・・・・
しかも・・・・」
そう言うと、女の子のスカートを捲り上げ、膝に乗せると濡れた下着の上から叩き始めた。
「よく粗相をしているとか?
そうなんでしょ?」
パン!
パンパン!
ぴしゃん!
容赦ない平手雨ちを受け、女の子は返事をすることも出来ずにひたすら声を上げた。
「いつかお詫びにと思っていたんですよ?」
言いながらも平手打ちは止まらない。
ショウタは自分の頬が熱くなるのを感じた。
気のせいか太ももの間もじんわり熱い・・・・・

「あ!あ!ああ!」

女の子は声を更に上げると母親の膝の上におしっこを漏らし始めた。
母親の手はそれでも緩まない。
ようやく許され、真っ赤になったお尻を晒され、しくしく泣く女の子を目の前にして、ショウタは何が何だか判らず、頭の中がぼうっとなった。
女の子の母親は、さっきまで女の子の尻を打っていたとは思えないような微笑みを浮かべ、ショウタの手を取るとショウタを立ち上がらせた。

(あ・・・・・・)

ショウタは自分もおしっこを漏らしていたことに気付き、青ざめた。
母親はショウタのベルトを外し、ジーンズを膝まで下げるとちゃぶ台に上半身を押し付ける。
(え?)
何が起きているのか判らずまごまごしているショウタの尻に、平手が飛んだ。

「聞いたのよ?娘から」

母親の声が背中からする。

「あなたも・・・・・お仕置きが必要なんだってね」


数十分後。
ようやく平手打ちから解放されたショウタは痛む尻をこらえ、女の子と二人横並びに正座をさせられ説教をされていた。
そしてぼんやり思った。
・・・・・そうだ・・・・・

高校生になった僕が可哀想だからじゃなく。
ずっと前から自分は親にこうして叱られることがなかった。
そして、恥ずかしいとは思いながらも、どこかでそれを期待していたのだと・・・・・

スポンサーサイト

おねしょじゃないけどおねしょなの

朝、少年が目を覚ますと下半身がなんだかもぞもぞする。
無性におしっこがしたい。
もう間に合わないかもしれない。
それでもどうにか体を起こしてベッドから出ようとすると。
お尻の下でぐしゃりという感覚。
恐る恐る振り返ると、シーツに描かれた大きなシミ。
おねしょ。
どうして?
いつもはお姉ちゃんかお母さんが起こしに来るのに。
涙腺が緩んで涙が瞳の中に湧き上がるのと同時に、下半身も緩んだ。
じわっと温かいものが広がり、あっと思った時にはもう遅い。
すっかり水を吸って大人しくなったシーツの上に新しい水たまりが広がる。

あああああああ・・・・・・

絶望感のせいでおしっこが全部で終わるまでの時間が嫌に長く感じられた。
鼓膜の奥には、まだしゅううううう・・・という忌まわしい音が残っている。
濡れたシーツを丸め、抱えると涙声でお母さん、と呼ぶ。
よたよたとダイニングに行くと、お母さんとお姉ちゃんがクスクスと笑い合っていた。
なんだよ、とふてくされた気分になりつつも、僕・・・・・・と口ごもると、二人は口を手で押さえながら端末を差し出した。
そこには眠りにつく自分が写っている。

「?」

眠っている自分は、毛布を剥ぐとズボンの中に手を入れ、大事なところを弄っている。
しばらくもそもそしていたかと思うと、ズボンを途中まで下げ、小さな彼のシンボルを取り出し、シーツの上で放尿を始めた。
それは気持ち良さそうに。
眠ったままで。
彼を起こすために部屋に入ってきたからだろう。
明かりがしっかり付いていて、その様子もシーツに広がる水たまりもはっきり写っている。

お母さんとお姉ちゃんは真っ赤になってその動画を見ている少年に向かってゲラゲラ笑いながら言った。

「ちゃんとトイレで出来て偉いわねえ!」

だから、今日のお尻ぺんぺんは、なし。
それなのに、少年はうっかり口を滑らせて、二度目のおもらしのことを喋ってしまった。
そんなわけで、少年は二人からお尻をぴしゃんぴしゃんと打たれ、お尻をさすりながら学校に行ったのだった。

小さなヒーロー


少しばかりの月が暗闇に隙間を開ける夜だった。
全く普通の建売住宅のベランダに、壁伝いに忍び込む影があった。
そこは住宅街と言ってもひっそりとしていて、その影を見るものもいない。
街灯もあまりない、というのが侵入者には幸いしていた。
ベランダにそっと降り立った影は、体を隠していた大きめのフードを剥ぐとポケットの中から端末を出し、画面を確認する。
「ここで間違いないな・・・・」
その影は手のひらに意識を集中すると、ベランダと部屋を隔てる窓に押し当てる。
小さなきしむ音がしたのを確認すると、影は窓を静かに開け、部屋に潜り込み、灯りの消された部屋の暗がりの中、静かに眠る小さな子供の顔を見た。
自然、唇が歪む。
何度この小娘にしてやられたか。
まだ幼くてランドセルに背負われてるような、赤ん坊みたいに丸まって眠る子供だが、これでもれっきとした正義の味方。地球侵略を目論む影、それはスラリとした手足を持ち、胸もたわわな美貌の持ち主の女は、その幼い少女の二倍以上も年を経ているのに全く歯が立たず連敗を喫している。
上司からも結果を急かされ、キリキリ舞いの彼女は、こうなったら手段は選ばないぞとばかりに、卑怯にも幼いヒーローの弱点を探ることにしたのだ。
戦いのこと以外で。
涼しい顔で眠る、ぷっくらとした頬をしばらく睨んでいたが、いつまでもこうしていても仕方がない。まずは机でも漁ろうか、と踵を返しかけた時、かの幼いヒーローが寝返りを打った。
ほっぺも丸ければお尻も丸いわ、と肩をすくめて目的を果たそうとした女は、そのお尻に妙なものを見つけて凝視した。
暗がりでよく見えないが・・・・・
なにやら濡れているような・・・・
そっと手を差し込むとしっかりとした湿り気が手に当たる。
「ちょっとちょっと!」
女は慌てて小さな体を揺さぶった。
(名前・・・・名前・・・・なんだったっけ)
必死で思い出すが遥か記憶の向こうだ。
「起きろ、おい!」
思った以上にベッドもお尻もびしょびしょだと判り、女は焦った。
このままでは風邪を引いてしまう。
必死で揺さぶり続けると、ようやくまぶたが開く。
「ん?」
最初はぼんやりしていたヒーローだったが、自分の前に見知らぬ人がいるということに驚き、声を上げようとした。女は慌ててその口を塞ぐと、あたしあたし、といつもつけているマスクを被る。
「あ・・・・・あなたは・・・・・ミサキさん・・・・」
ヒーローはとろんとした目でその名前を紡ぎ出す。
「そ、そうそう」
「悪の組織の・・・・・え?!」
「だから、しーっ!」
ミサキはまた口を塞いだ。
「それどころじゃないんだって!早く起きて!」
「え?」
二、三回瞬きをしたヒーローはようやく自分のお尻が濡れてることに気づいて慌てて飛び起きた。電気をつけ、青いシーツに出来た水溜りを確認するとボロボロと涙を溢しはじめる。
ああ、もう!とミサキはヒーローを抱きかかえ、立ち上がらせた。
「泣くのは後、後!風邪引いちゃうよ!」
濡れたシーツごとヒーローを抱っこすると勘で浴室へと向かう。
日本の一戸建ての住宅事情なんて大体一緒だ。


浴室の向こうではシャワーの音に混じってすすり泣く声が聞こえる。
ミサキは一度浴室でゆすいでもらった汚れ物を受け取ると、もう一度洗面所で洗い直し、洗濯機に入れた。
スイッチを入れてはやりたいがこんな夜中に音をさせては自分が怪しまれる。
仕方ないか、と諦め、うつむいたままバスタオルで体を拭き終えたヒーローの手を引いて部屋に戻った。
「どうしよう・・・・」
せっかく泣き止みかけたのに、ベッドに広がるおねしょの証拠を見た途端、また泣き出してしまった。
「どうしたどうした、正義の味方」
ミサキは慌ててその顔を覗き込んだ。
「お、お母さんに怒られる・・・・」
ヒーローは大声で泣き出したいのを堪えながら訴えた。
「もしかして、割としょっちゅう?」
ミサキの問いかけに、ヒーローはこくこくと頷いた。
「こ、今度やったらお尻いっぱい叩くって言われたのに・・・」
と言うなりまためそめそ泣きだすのに、ミサキはうーんと唸った。
シーツやパジャマは洗えてもマットレスは・・・・
「いつも後片付けはお母さんに全部やってもらってる?」
「はい・・・・」
「じゃあ、今度からあたしと一緒にやったみたいに、お洗濯だけでもやってみて」
ね?と言われてヒーローは小さく頷いた。
マットレスはもうしょうがない。
取り敢えず寝る場所だ。
ミサキは濡れたマットレスを折りたたむと子供がどうにか寝れるだけのスペースを作り、掛け布団を敷き布団代わりにし、新しいシーツを探し出すとそこに敷いてやる。
その上に毛布を乗せ
「今夜はこれで」
とヒーローを寝かせた。
「ミサキさんはなんでここに?」
ようやく少し落ち着いたのか、ヒーローは鼻をすんすん言わせながら潤んだ瞳で聞いてくる。
「あたし?」
部屋の電気を消しながらミサキはベッドを振り返った。
「あんたの弱点を探しに来たんだ」
「え・・・・・」
ヒーローは収まりかけた涙をまた浮かべ、恐怖に満ちた目でミサキを見上げた。
「・・・・じゃあ、このこと・・・・・」
「言わない。もっと違うのにする」
だからもう寝なさい、というとミサキは忍び込んで来た時より素早く、その場から立ち去った。
ヒーローの名前はまだ思い出せない。


机の上には今日の宿題。
あと少しで終わる。
ヒーローはそわそわと椅子の上で足を揺らした。
おねしょ癖のある子には夜は恐怖でもある。
しかも・・・・・・

(見られた・・・・・・)


素顔のミサキは美しい女性だった。
マスクの向こうから憎々しげに睨み付けて来る姿からは想像もつかない。
そんな美しい女性に自分のおねしょを見られた。
昨夜のことを思い出し、知らず、頬が熱くなる。
いくら戦いに勝っても自分はまだ未熟な子供。
まるで赤ん坊のようだ、と思われたかもしれないと思うとたまらない。
そんな彼女の耳に、窓をノックする音が聞こえた。
顔を上げるとミサキが何かを持って立っている。
ヒーローは慌てて立ち上がると窓を開けた。
「どうだった?お母さん」
訊いて来るミサキの瞳はまるで共犯者のようだ。
「ちょっとだけ・・・・・」
お尻を撫でながら照れ隠しに笑う。
「後片付けが利いたわね。
今日はこれを持って来たの」
「これ?」
ミサキが机の上に置いたものを見てヒーローは目を丸くした。
それは大き目のオムツだった。
「おねしょなんて、そのうち治っちゃうから弱点になんかならない。
そんなので笑い者にしてもあたしの名が汚れるだけ。
あたしが毎日処理しに来てあげる。
その間にあんたの本当の弱点を探す」
それだけ言うとミサキは窓を開け、ベランダに出た。
その視線の先に机の上の教科書が見える。
そこにヒーローの名前が書かれているのが見えた。
(そうだ・・・・あの子の名前・・・・)
「またね、アカネ」
ミサキはそう言うとベランダからひらりと飛び降りた。
「ミサキさん・・・・・」
アカネはオムツの束を抱えてミサキの去ったあとを見ていた。
(まるでヒーローみたい・・・・)

父の日の慌ただしい朝

 それは清々しい風の吹く、日曜日の朝のことだった。
休日になるといつもより少しだけ早めに起きてくる家族が台所に集まり、朝食の準備をしていると


「おねしょだよ!」
「おねしょじゃないだろう」
「おねしょだもん!」

と、一番下の娘と父親の揉める声が聞こえて来る。
なんだなんだ、と母親と、上の兄弟が家事もそこそこに覗きに行くと、真ん中に大きな水溜りを作った布団を挟んで娘と父親が言い争いをしていた。

「だからおねしょだもん!!」

娘は顔を真っ赤にして地団駄を踏んで抗議する。
確かにそれはおねしょだ、と誰もが思った。
布団にはっきりとおしっこの水溜りが出来ている。
だが父親は違うだろう、と譲らない。
「だって見てみろよ」
と父親は、交互に両足を踏み鳴らす娘の尻をみんなに向けた。
「あれ?」
パジャマのズボンが濡れていない。
「こいつさあ、突然起き出したかと思ったらズボンとパンツを脱いでしゃがみ出して、ここにおしっこし始めちゃって・・・・・終わったら何事もなかったかのようにまたパンツとズボンを履いて寝ちゃったわけ」
どういうこと?と怪訝な顔をする家族に父親は半笑いで教える。
「だからおねしょじゃないんだよ」
「おねしょだもん!!!寝ちゃってしたんだからおねしょだもん!!」
娘は更に激しく両足を踏み鳴らして叫んだ。
本人としては寝ぼけてパンツを下げておしっこを布団にしちゃったことの方が不名誉なことらしい。
「どっちでもいいから、とにかく体を洗って布団を干しましょう」
と、母親が娘の方に手をかけた時。

濡れていなかったパジャマのお尻に勢いよく丸いシミが広がり


しゅわわわわわーーーーーー・・・・・・

という音が足の間から聞こえたかと思うと畳を水音がうち、娘の両足の間に水溜りが出来、どんどん大きくなる。

「・・・・・・お前、おしっこ我慢してたのか・・・・」
地団駄を踏んでいたと思ったのはおしっこを我慢してる仕草だったのだ。
「だってパパがおねしょだって言ってくれないから!!」
娘はわんわん泣きながら叫んだ。
「せっかくパジャマは濡らさなかったのになあ」
兄たちはびしょびしょに濡れたズボンを引っ張って濡れた部分を確認する。
そしてするりと濡れたズボンとパジャマを脱がせると
「こんなにいっぱい漏らして、布団もあんなに濡れて・・・・・ジュースの飲みすぎだ!」
とお尻を何度かぴしゃん、とひっぱたいた。
それはさすがに否定出来ず、娘は悔しさをいっぱいにして言い返すのを我慢し、痛んだ尻を撫でる。
最後にちょっとだけ残っていたおしっこを恥じかきついでとばかりにしょろっと漏らすと兄に抱かれて風呂場に行った。

その日からしつこく「お布団はトイレじゃないんだぞ」と家族にからかわれて娘は悔しさを我慢しながら眠りにつくのだった。

気難しがりやの王子の失敗

 学校から家に帰ると家はいつでも奇麗に片付いていて、タイミングさえ合えば手作りのおやつまで用意されている。
 部屋に入るとベッドの上には奇麗に畳まれた洗濯物が積み上げられている。
 全て自分を狙っている殺し屋の仕業だ。
 その殺し屋は、もうなくなってしまった衛星の王子である彼が随分小さな頃からその生命を狙っていた凄腕の殺し屋だ。残念ながらその殺人依頼は解除されてしまったが殺し屋は後一歩の所で依頼が解除されてしまった事を癪に思って次の依頼が来るまで王子を他の暗殺者から護り続けている。なんとも律儀で頑固な男だ。
 護りついでに学校までの送り迎え、家事までこなす殺し屋は、表情や感情には乏しかったが不思議と怖くはなかった。
 むしろ独特の優しさを持って王子に接してくれている。
 王子はいつかはこの男の手に掛けられ殺められてしまうのかという畏れを抱きつつも、殺し屋の作ったおやつをついばみ、今日学校であった事を報告しながら家事を手伝い、一緒に食卓を囲み、時には一緒に映画を観たり本の貸し借りをするという時間を過ごした。
 家どころか故郷の衛星と家族まで失った未成年の王子にはそうしてくれる大人が必要だったから、彼の存在は確かに有り難いものだった。
 なんてったって殺し屋はとても器用でまめでとっても聞き上手で、外ではにこにこの王子が家で感情を爆発させて八つ当たりしたって涼しい顔で受け止めてくれるのだ。
 そんな殺し屋の感情が最近の王子には巧くコントロール出来ないのが王子の悩みだった。
 以前はなすがままで八つ当たりを受け止めてくれる、背の高い殺し屋に心行くまで甘えて明日をすっきりと迎えていたのに。
 彼が底なしに彼を受け止めてくれればくれるほど、王子の胸にはもやもやとした気持ちが芽生えて仕方ない。
 殺し屋だって好きで王子の御世話をしているわけではないはずだとか。
 自分にも理不尽な話なのに、何故彼はひとつも抗う事なく従うのだろうとか。
 そんな疑問ばかりが自分とのやり取りの度に胸を多い、最近王子は殺し屋に素直になれない。
 必要以上にきつい言葉で返してしまったり、たいして感情も持たない殺し屋の気持ちを勝手に詮索して本当は自分に不満があるはずだと思い込んでは全ての言葉を悪いように受け止めてしまって反抗的な返事を投げ付けてしまったり。それでも殺し屋は何も言わない。また八つ当たりなのだろう、と涼しい顔だ。
 それがまた情けなくて、王子はごめんなさいも言えないで勝手にむくれては、踵を返されて慌ててて後を追ったりしがみついたり拗ねて部屋にこもって夕食まで出て来なくなったり。
 何かにつけてずるいずるいと連呼したり。
 周囲にいる人間が普通の大人だったら反抗期だ、思春期だ、と思ってくれた事だろう。
 あなたはそうだと言ってくれたかもしれない。
 ただ、殺し屋はだいぶその辺の事がルーズで、亡命の王子は16歳の揺らめく心を持て余していた。

 そんなことだから、今日も王子はちょっとしたことで不機嫌になって部屋に籠ってしまった。
 どういう風に振る舞ったらいいのか判らず、激しい自己嫌悪を抱きながらベッドに転がっていると睡魔が襲って来る。
 最近、ちょっとしたことで苛々しているから疲れてしまったに違いない。
 王子はそう考えて瞳を閉じた。
 


 ずしん、とした重みを体に感じる。
 部屋が薄暗くて、ちょっと寝ただけのつもりがそうではなかったかもしれない、と思いながら王子はどうにか体を起こそうとした。
 まだすっきりはしていないが寝ただけマシだ。
 まだ殺し屋になんて言ったら判らないが顔を合わせる気にはなってる。
 出来るだけ勢い良く起きよう、と上半身を起こした王子は、その勢いを強くへし折られるような出来事に顔面蒼白になった。
 ・・・・・・・どうしよう・・・・・・
 心臓の音が聴こえる。
 どうしたらいいのか判らない。
 混乱した頭の中で色んな事がぐるぐると回っているけれど、とにかく誰かの助けが必要だ。
 王子は震える手で携帯電話を掴むと必死で番号ボタンを押した。



 静かな台所で殺し屋は夕食の下ごしらえをしていた。
 王子がいる時は王子の話し声で溢れ還っているが、今日は自分一人なので包丁が野菜を刻む音やお湯が沸く音くらいしかしない。
 そんな静寂をつんざくように、リビングに置いてある電話が強く鳴った。
 この電話は掛けた側が内容によって音を調節出来るようになっているので、音の強弱で話の重要度が判るようになっている。
 殺し屋が足早に近寄り、受話器を耳に付けると、ためらうような呼吸の後で、掠れたような声で

「・・・・・・お・・・・」

とだけ聴こえた。

「お?」

 オウム返しに聞き返す。
 受話器の向こうは数秒間静かになり、それから涙声で震えながら、しかしはっきりとした口調で伝えられた。



 おねしょしちゃった




 殺し屋が急いで二階に駆け上がり扉をノックすると、王子がべそをかきながら出て来る。
 下半身は歩く度にぐずぐず言っている。
 本人は無意識だろうがびしょびしょで重くなったズボンのせいでどことなくがに股だ。
 ベッドの上には大きな水たまりが出来ていた。
 服は着替える事が出来るが、この濡れたベッドを始末するのは難儀な事だろう。
 殺し屋はとにかく体を洗っておいで、と言うとシーツを剥がしに掛かった。
 毛布は掛けていなかったようで無事だがマットレスは救い用がない。
 もう夕方なので外に干すわけにもいかない。
 しかし、このまま置いては部屋ににおいがこもってしまう。
 殺し屋は取り敢えずシーツを浴室に突っ込んだ。
 王子が泣きべそかきながらシャワーを浴びていたが気にしない。
 その後、床を汚さないようにマットレスを降ろす。
 これが一苦労だった。
 階段を下りる時がキツい。
 それでもどうにかして運び降ろすと体と一緒にシーツも洗った王子が浴室から出て来たところだった。鏡の前で涙を拭きながら着替え始めようとしている背後からマットレスを浴室に突っ込む。
 今しがた閉じられたばかりのシャワーの栓を開くと、王子の失敗の跡目掛けて放水した。
 
 
 それは立派な反抗期。
 残業を途中で切り上げ、いつもより早目に帰って来た家主はソファの上で殺し屋に抱きかかえながら眠る王子の姿に微笑みながら答えた。
 ベッドが駄目になってしまったので後は他の人と寝るか居間のソファで寝るかしかなかったが、殺し屋に部屋はない。同居人の塔は二人で寝れるほどのベッドは持っておらず、家の主は帰りが遅く持ち帰りの仕事を携えていることもある。考えた末にソファで寝る事を選んだわけだが、夕食後も自分の失敗を思い出してかぐずぐず泣くので気持ちを落ち着かせる為に仰向けになり、腹に抱きながら揺らしていたらすっかり眠り込んでしまい、殺し屋は動くに動けなくなってしまった。
 家主の夕飯を温めなくてはなるまい。
 殺し屋はそっとソファと王子の間からそっと体を抜き取る。
「反抗期?」
「あとちょっとで大人さ」
 家主は己の首にしつこくしがみつくネクタイを外しながら言った。
「その前に赤ちゃんに戻るの?」
「そうかもな」
 家主は殺し屋の疑問にふふふ、と笑った。
 殺し屋はいつも五歳児が初めて疑問を抱くかのような訊き方をする。
 それが怜悧な表情と正反対で面白くてたまらない。
 殺し屋は結構博識で雑学家で思いも寄らないような知識を持っていたが、どこでどう生きて来たのか誰もが知ってる事が抜け落ちていたりする。それをためらいなく訊いて来るのだ。
 彼の年齢は判らず、骨格や肌の質感からして20代の前半ではないかと言われているが、こういう時はいやにあどけない。
 あどけないからこそ殺し屋になれるのかもしれない。
 と、思わないでもないが。
 家主が今日の疲れをシャワーで洗い流し、リラックスした部屋着になって居間に戻ると食卓には温められた夕食が並んでいる。勿論アルコール付き。王子の元に戻ろうとした殺し屋を呼び止め、グラスを持たせると二人で反抗期に乾杯をした。
 少なくともあのマットレスが乾くまでに三日は掛かりそうだなと思いながら。



 王子はそれからしばらくはまた失敗してしまうのではないかと怯えながら眠り、起きる日々を過ごした。
 失敗は一度だけあった。
 その頃は反抗期も終わり掛けており、殺し屋との感情の諍いもなく、自分の心持ちも理解していた王子は以前のように大騒ぎをすることもなく自分で後始末をすると、その日は泊まりでソファに寝ていた殺し屋を起こし、
「ベッド駄目にしちゃったから」
と言うと反対側のソファで毛布にくるまる。
「駄目にしたって何で?」
 殺し屋が、あの特有の五歳児みたいな眼差しで訊いて来る。
 本当に卑怯だ、と王子は思ったが反抗期真っ盛りの時に感じた苛立はない。
 殺し屋にとっては本当に「何で?」なのだ。
 王子はちょっとは察しなよ、というようにわざと膨れると
「おねしょしちゃったの!」
 と言い放って背中を向けた。
 殺し屋はふうん、とだけ言うとおやすみと呟き静かになった。
 ふうん、だって、と王子は目を閉じ眠りの国に旅立つ。
 明日になったらもう黙れって言っても喋ってやるんだからね。
 あの日。
 自分のおねしょに気付いた時、どんなに絶望したか。
 謝ってもいないのに強情張った相手に泣きつくのにどれだけの勇気がいったか。
 服を脱ぐまでの、お尻から脚にまとわりつく気持悪さ。
 電話してから殺し屋が駆けつけるまでの間、実はその濡れたベッドの上におしっこを漏らしちゃった事。
 盛大に濡れてたから気付かれなかったけど、浴室までもちょっとずつ漏らしていて浴室の前で大きな水たまりも作っていたこと。
 それくらいあの日は自分の失敗が恐怖だったこと。
 抱かれて眠ってる間とても安心していたこと。
 今夜は「あ、やっちゃった」としか思わなかった事。
 ベッドだってあんなに派手には汚してないんだから。
 同じおねしょだけど。
 パジャマだってお尻の周りが濡れたくらいなんだから。
 同じおねしょだけど。




 大人になるってちょっとつまらない。
 王子の寝息を聴きながら殺し屋は自分も眠りの国へと旅立ちながら思った。
 殺し屋は王子が小さい時から知ってはいるが、彼を抱いたりするわけにはいかなかった。
 偶然、致し方なく小さな手に握りしめられた時、初めてその体温を感じ、子供って温かいなあと思った。それは彼が初めて触れる生命の温度だった。
 こないだの夜腹の上に抱いた王子の体から伝わる体温はその時の事を思い出させるほど温かかった。
 わけもなく突っかかって来たり、よく判らない理由で八つ当たりして来たり、急に泣き出したりする王子を殺し屋はさほど嫌ではなかった。
 そんな王子がもういなくなるのかと思うと、寂しくもあり残念でもある。
 もしかしたらまたうっかり失敗してしまってもソファで寝ずに済む方法を思い付くかもしれない。
 抱いた体温がそっと離れて行くような気持ちだな、と殺し屋はその残像を追って意識を手放した
プロフィール

りろいべる

Author:りろいべる
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。